いじめ防止はやさしさのある学校から――奈良県奈良市会場
令和元年8月3日、ホテルリガーレ春日野(奈良県奈良市)において、道徳教育研究会を開催。現職教員をはじめ教育関係者等106名の方が参加しました。
開会に先立ち、荒木篤人氏(奈良県教育委員会事務局学校教育課 主幹)が「道徳の教科化は、いじめ問題から始まった。この対応は急務であるため2年間も前倒しでのスケジュールとなった。いじめはやる方とやられる方に注目が行きがちになるが、いじめを見過ごす日常になっていることこそ問題である」とあいさつ。また、本研究会への期待を述べられました。

来賓挨拶:荒木篤人氏
講演:「やさしさのある学校」~知徳一体の教育をめざして~
まず、廣瀬由美子講師(モラロジー研究所 教育者講師)が 「『やさしさのある学校』~知徳一体の教育をめざして~」と題して講演。東日本大震災の年までの40年間町田市の小学校に勤務した廣瀬講師は、最後の8年間に「心のバリアフリー」「チームワーク」を合言葉に、山崎小学校校長として勤務。荒れた学校の再生や、やさしさのある学校をめざして、教職員・保護者・地域の方々と共に学び支えあった内容について発表を行いました。講話の中では、モラロジーの観点から道徳教育の5つの視点
①生かされている自覚
②恩恵に基づき感謝
③深い思いやりの心
④三方よし
⑤よりよく生きようとする心
について判りやすく解説しました。

講演:廣瀬由美子講師
実践発表:「教師も楽しむ道徳教育」 ~チームとして取り組む道徳授業を目指して~
続いて行われた実践発表では、片岡幸一講師(大和郡山市立片桐小学校 教諭)が壇上に。片岡講師は、奈良県道徳教育研究協議会の研究委員として県内の道徳教育の推進に務めています。前任校の大和郡山市立平和小学校在任中、平成26年度・平成28年度に奈良県教育委員会指定「奈良の子どもの未来を拓く道徳教育推進事業」の研究指定を受け、道徳教育推進教師として研究発表会では中心的役割を果たしています。現任校である大和郡山市立片桐小学校でも、道徳教育推進教師として道徳教育の推進及び授業実践を行っています。発表では、実際の道徳科の授業内容での生徒とのやりとり、その中で先生が考えていなかったことを子供から教わったこと、答えは一つではないことを生徒と共に楽しんで進める光景が浮かぶような判りやすい内容でした。

特別講演:澤田浩一講師
特別講演:「道徳科の温かい授業と元気になる評価」
澤田浩一講師(國學院大學 教授)は、道徳の授業について多岐にわたって事例を提示。特に
①遠回しなお説教ではいけない、認め、励ます授業をお願いしたい。
②道徳科の授業のやり方は生徒により変わってくるため、生徒に聞くこと(教わること)。
③例文を貼りつける評価は、無関心な評価である。これをやってはいけない。
④主体的に行動するための基になる道徳性を育成する。
を注意点として強調しました。

100名を超える参加者が参集