私たちの心づかいは、表情や態度、具体的な言葉や行動など、さまざまな形で表れますから、ひと口に「優しさ」といっても、そこにはいくつもの表現があります。例えば、明るい表情で接する、励ましの言葉をかける、相手の話に耳を傾けるなど。こうした直接的な言動に、「相手の心に寄り添いながら、粘り強く見守り、幸せを祈る」といった優しさも加味されたなら、その優しさは、より深く、大きなものになっていきます。
「優」という字は、人偏に「憂」というつくりでできています。「憂」とは、相手のことが気にかかる、心配だ、なんとかならないかと、相手のことに心を痛めることです。そうした心づかいや言動の積み重ねが、一つの大きな「優しさ」を形づくり、人を温かく包み込んでいくのではないでしょうか。
『ニューモラル』510号,『366日』12月23日