広島大学の越智貢教授は、ある研究授業で、小学生の子供たちに「『嘘をついたらゲームを買ってあげる』と誘われたとき、あなたならどうしますか」という質問を投げかけました。すると、ほとんどの子供が「ゲームは欲しいけれど、嘘をつくのは悪いことだ」「嘘をつくと叱られる」などと答えました。ところが一人だけ、「嘘をつくと記憶に残る」と答えた女の子がいたといいます。
嘘をつくと記憶に残る――この言葉には、子供の心の内に確かな「道徳心」が根づいていることが示されています。
私たちは、してはいけないことをしてしまったとき、するべきことをしなかったときに、たとえ人に知られなくても気がとがめるものです。こうした「道徳心」をしっかりと自覚してこそ、自分で自分を律していけるのではないでしょうか。
『ニューモラル』417号,『366日』11月20日