道徳の授業:節度・節制

分類:A3 C2

「とらわれの心」に気づく

 二宮金次郎(尊徳、1787~1856)が桜町(現在の栃木県二宮町)の復興に当たったときのお話です。復興事業は土地の人々の反発を受けて頓挫。思い悩んだ金次郎は、成田山新勝寺に籠って二十一日間の断食修行を行います。その中で「自分は事業を妨害する者を悪人と思って疑わなかったが、反対者には反対の理由があり、反対者が出る原因は、自分のほうにもあるのだ」と気づいた金次郎は、こんな歌を詠んでいます。

 打つこころ あれば打たれる 世の中よ 打たぬこころの 打たるるはなし

 こうして何事も受け入れる肚ができ、どのようなことがあっても復興事業を成し遂げようとする信念を固めたのです(参考=三戸岡道夫著『二宮金次郎の一生』栄光出版社)。

 よいことをしているはずなのに周囲とうまくいかない――そんなときは「よいことをしている」という「とらわれの心」を、謙虚に見つめ直したいものです。

『ニューモラル』410号,『366日』3月28日

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