私たちはいろいろな欲求を持っていて、“これが欲しい”“ああなりたい”“こうしてほしい”と、いつも何かを求めています。しかし、求める心ばかりが強いと、今すでにあるものが見えなくなったり、今すでに持っているもののよさを忘れたりしてしまいます。人に対しても自分に対しても、ないものねだりをして嘆いたり、悲しんだり、愚痴をこぼしたりするよりも、身近なところにある「宝物」にもっと目を向けて、その一つ一つを丁寧に味わいたいものです。
妻が夫の、夫が妻の、親が子の、子が親の、上司が部下の、部下が上司の、「すでにある美点」を再発見し、これを忘れることなく凝視し続けていきましょう。そして自分自身をも見つめ直して、お互いが「かけがえのない宝物」であることに気づけば、毎日の生活は喜びに満ちていくことでしょう。
『ニューモラル』322号,『366日』8月23日