子供の思春期は親の試練の時ですが、それ以上に苦しみ悩むのは子供自身です。
たとえ外見が変わったとしても、その子の持っている優しさや思いやりがなくなったわけではありません。むしろ、子供は子供なりに、よりよく変わろうとして模索しているのではないでしょうか。自分はどういう人間なのか、自分は何をしたいのか、人間はなんのために生きているのかという、根源的な問いかけをしているのです。まさに「自我」の確立に向けて、「子供」という殻を破ろうとしている、ともいえるでしょう。
この時期、親の役割は跳び箱の台のようなものです。思春期という助走期にエネルギーを蓄えた子供が、殻を破って大きくジャンプできるように、どっしりとした存在でありたいと思います。夫婦がよく話し合い、支え合いながら、子供を信じ、温かく長い目で見守る気持ちを培っていきたいものです。
『ニューモラル』359号,『366日』11月25日