私たちは苦しみや悲しみに出会うと、“なぜ自分だけが、こんなに苦しまなければならないのか”と考えて悩みます。時代や場所、状況が変わっても、人間の苦しみや悲しみの本質はそれほど変わらないでしょうか。
そのとき冷静さを失うと、問題解決への早道を選びたくなり、自分の苦しみの原因を周囲の人や社会のせいにする場合もあるでしょう。自分が悪いせいだと考えて、ひたすら自分を責める場合もあります。いずれにしても、こうした考え方は事態を悪化させ、投げやりになったり、生きる気力さえ失ったりすることにもなりかねません。
「この悲しみや苦難は、自分にとってどのような意味があるのか」という問いは、周囲や自分を責めることとは異なります。問題に対して正面から立ち向かっていく姿勢をつくることですから、未来へとつながる気力が生まれてくるのです。
『ニューモラル』369号,『366日』11月18日