お墓や仏壇に向かって祖先に手を合わせるという光景は、長く受け継がれてきた日本人の慣習です。しかし、時代や社会が大きく変化する中では、従来と同じような形で祖先を祀っていくことは困難だと感じられる場合もあるでしょう。
祖先を祀ることは、祖先のためだけでなく、今を生きている私たちにとっても大きな意味のあることです。仏壇やお墓といった具体的なものに向き合うことで、私たちは直接会ったことのない多くの祖先たちとの時代を超えた「つながり」を感じ、今、自分がここに存在することの意味を強く意識することができるのです。
祖先祭祀の形式は、時と共に変わっていく部分もありますが、何より大切なことは祖先を敬い、祖先に感謝するという気持ちを持ち続けることではないでしょうか。「祖先と心を通わせる」ということを、大切に考えていきたいものです。
『ニューモラル』492号,『366日』7月15日