彰宏(あきひろ)さんの兄は知的障害をもっています。
彰宏さんは小学生のころ、兄といっしょに外を歩くことはありませんでした。
知的障害をもつ兄がいることを、友だちに知られたくなかったのです。
ところがその後、彰宏さんは住んでいる町で“地域ぐるみで子どもを守っていこう”という活動に申し込みました。
玄関前の木には、「こどもSOS――こまったらここにおいで!」と書かれたステッカーがかかっています。
このような気持ちになれたのも、父の深い思いと、兄のやさしい心を思い起こし、親子で参加した車椅子の体験などを通して、障害をもった人やお年寄りに心を向ける大切さを痛感したからでした。
彰宏さんは、自分の思いを少しでも社会に生かす、第一歩を踏み出したのです。