「相手の気持ちになって考える」「相手の立場に立つ」という言葉をよく耳にします。
しかし現実には、なかなかそうした気持ちになることは難しいものです。自分に都合のよい手段や方法にこだわり、見栄や世間体を優先させた、形だけの一方的な思いやりや励ましは、相手の心を傷つけ、負担を感じさせることにもなりかねません。
人の役に立ちたいという思いを行動に移すときは、お世話をする相手に対して絶えず心を向けることが大切です。自分が満足するのではなく、その人の置かれた状況に心を配り、どうしたら喜び、満足、安心を与えることができるのかを考えることが、本当の「思いやり」なのではないでしょうか。
お互いが相手の気持ちを察しながら、心を通わせていったとき、そこに優しく温かな人間関係が生まれていくことでしょう。
『ニューモラル』440号,『366日』9月20日