高知県のある小学校では、子供の好き嫌いをなくすために、近くの農家の協力を得てお米づくりを体験させたほか、校庭の一部を菜園にして二十数種類の野菜を栽培しています。これを給食に利用した結果、子供たちは自分の育てた野菜が入った給食を、先を争って食べるようになりました。また、学校での態度も落ち着いてきました。この体験から「育てる喜び」を知り、自然の恵みや「食」に関わるさまざまな人々への感謝の気持ちが、自然に培われたのです。これに勝る「食育」はないでしょう。
私たちのいのちは、自然のいのちをいただくことで維持されています。いただいたいのちに感謝し、それをよりよく生かすための「ひと手間」を惜しまない。――そうした丁寧な生き方に、健康で心豊かな生活を築いていく秘訣があるのではないでしょうか。
『ニューモラル』452号,『366日』6月21日