日本における曹洞宗の開祖・道元禅師(1200~1253)は、「愛語というのは、衆生に対してまず慈愛の心をおこし、思いをかけて愛のことばを語ることである。(中略)愛語は、愛する心からおこるのであり、愛する心は、慈しみの心を種としているのである。愛語は、まことに天下の時勢を変えるだけの力のあることを学ぶべきである」(『現代語訳 正法眼蔵』大蔵出版)という言葉を残しています。
人は温かい言葉をかけられると、勇気を得たり、自分の可能性を発見したり、喜びを見つけたりします。また、それはめぐりめぐって、温かい言葉を発した人自身の喜びにもつながるでしょう。こうして一人ひとりが周囲の人に温かい言葉をかけることで、社会はよい方向へと向かうのではないでしょうか。その力はわずかかもしれません。しかし、多くの人の温かい心が集まれば、大きな力になるのです。
『ニューモラル』486号,『366日』9月21日