ある幼稚園で、運動会に向けてクラスでリレーの練習をしていたときのことです。いつごろからか、一人の女の子が次のランナーへバトンを渡すときに「頑張ってね」と声をかけるようになりました。すると、それはいつの間にかクラス全体へと広がって、皆が次の人に「頑張ってね」と言うようになったのです。このクラスには、運動会のリレーの競争で負けた後も、「誰々のせいで負けた」と言う子や泣きじゃくる子は出なかったということです――。
忙しい毎日の中で、いつしか周囲が見えなくなっていた、という経験はないでしょうか。そんなときこそ、意識して周りの人に心を配り、人のためにできることを探してみましょう。例えば「次に使う人のこと」を思って、職場の共有資料を整理しておくなど……。そうした心がけが、自分の人生を豊かにしていくのです。
『ニューモラル』475号,『366日』9月30日