みずからの努力によってなんらかの壁を乗り越えたり、自分自身の力で物事を達成したりしたとき、その人の心の中には自信や達成感が生まれます。周囲の人からのせっかくの手助けも、達成感を味わって成長する機会を奪う結果になってしまうとしたら、長い目でみればお互いの損失につながります。
手助けをしようとする人は、その行為を受ける側の個性や能力、適性などを見極めて、その人が本来持っている力を十分に発揮できるように、心を配らなければなりません。どんなときも「自分も相手も、さらには第三者も含めた全体の調和を図りながら、物事を発展させていく」という、建設的な考え方に基づいて行動したいものです。そこで相手を思いやることを心がけてこそ、周囲の人に安心と満足を与え、共に大きく成長していくことができるのではないでしょうか。
『ニューモラル』508号,『366日』9月4日