道徳の授業:相互理解・寛容

分類:B5

悲しむ心に関わるとき

 上智大学グリーフケア研究所の髙木慶子教授は、「悲しむ心に関わろうとするならば、真っ先に考えなければならないのはケアのノウハウではなく、自分が関わろうとしている相手が何を必要としているかということでしょう。(中略)苦しんでいる人の力になりたいと思ったときは、『力になりますよ』と一方的に相手の胸の内に飛び込んでいくのではなく、『あなたの悲しみに寄り添うことを許していただけますか?』と、最初におことわりしたほうがいいでしょう」(『悲しんでいい』NHK出版新書)と述べます。

 人が深い苦悩のただ中にあるとき、不用意な助言や励ましは、かえって相手の心を傷つけるものです。必要なことは、何より相手の立場に立って考え、その発する言葉とその元にある心の声に、謙虚に耳を傾けることなのでしょう。また、そうした姿勢で人と関わっていく中で、自分自身の心も磨かれていくのです。

『ニューモラル』509号,『366日』7月27日

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