分類:B5
人は時として、思いがけない事故や病気、大切な人との別れなど、受け入れがたい大きな悲しみや苦しみに直面することがあります。
身近な人がその渦中にあるとき、“なんとか慰め、励ましたい”と思ったとしても、相手の気持ちや状況に十分な配慮をせずに性急な言葉をかけたり、自分の考えを押し付けたりしては、相手の心の傷をさらに深くすることにもなりかねません。
上智大学名誉教授のアルフォンス・デーケン氏は、こうしたときに肝心なことは「相手が心を開いて自由に話せるように、聴き役に徹すること」であると述べています(『心を癒す言葉の花束』集英社新書)。
相手に寄り添い、その思いを受けとめて尊重し、共感しようとする心の姿勢があってこそ、相手の悲しみや苦しみをやわらげることができるのでしょう。
『ニューモラル』518号,『366日』3月13日