道徳の授業:相互理解・寛容

分類:B5 A6

思いやりの技術

 昔、イギリスのウィンザー公が、ある晩餐会に出席したときのことです。

 参加者の一人がマナーを知らず、指先を洗うフィンガー・ボールの水を飲んでしまいました。

 それを見た周囲の人は戸惑いましたが、ウインザー公は少しもあわてず、同じようにフィンガー・ボールの水を飲み、その人に恥をかかせないようにしたのです。

 これは形式にとらわれず、マナーというものの精神をよく理解していた一例です。

 作法をいくら知っていても、相手の立場に立つゆとりがなければ、時には押しつけとなり、ありがた迷惑と受け取られかねません。

 また、相手を思いやるにしても、それをうまく表現する知識や技術がないと善意は伝わりません。

 心と技術が伴ってこそ、相手に喜ばれる思いやりとなるのです。

『ニューモラル』155号

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