社会の中で、自分勝手のように思える他者の言動を見聞きしたとき、私たちはどのように思うでしょうか。“こんなことでは世も末……”と嘆かわしく思ったり、怒りに任せて相手を批判したり、言うべき言葉を失ってただあきれたりすることもあるかもしれません。しかし、嘆いているだけでは世の中はよくなりませんし、感情に任せて相手とぶつかっては、周囲にますます波紋が広がってしまうことでしょう。
私たちがよりよい人生を築くためには、自分をとりまく社会もまた、よりよいものになっていく必要があります。そのためには、まずみずからが発信源となり、温かい心で周囲と向き合っていくことが大切です。一人ひとりの力の及ぶ範囲には限りがあっても、また、その行為の一つ一つがどんなにささやかであっても、その積み重ねこそが、自分や周囲の人々の心を豊かにしていくのではないでしょうか。
『ニューモラル』499号,『366日』9月29日