国際協力機構(JICA)に所属してケニアに渡り、農村の生活改善に尽くした岸田袈裟さん(1943~2010)は、「ケニアの人が本当に必要としていて、しかも自分たちでつくれるもの」を追究し、「エンザロ・ジコ」というかまどを考案しました。
これはレンガや石で組んだ土台を粘土で塗り固めてつくるかまどです。従来、地面に並べた石の上に鍋を置いて火にかけていた現地では画期的なものでした。しかも、かまどのつくり方を教わった人たちが周囲につくり方を伝えていったので、今では隣国にまで広まっているということです(参考=『エンザロ村のかまど』福音館書店)。
援助を行うときは、相手の置かれた状況を深く思いやって、「どのような手段・方法をとることが将来的に最もよい結果につながるのか」を考える必要があります。何事も動機と目的だけでなく、方法にも「まごころ」を尽くしたいものです。
『ニューモラル』508号,『366日』10月6日