分類:C4
子供のころ、家庭の食卓にはどんな料理が並んでいたでしょうか。料理をつくった人や一緒に食卓を囲んだ人は誰で、そこはどんな雰囲気だったでしょうか。――多くの人の胸には「おふくろの味」と、家族の談笑の光景が刻まれていることでしょう。
「おふくろの味」を成り立たせる要素は、調理技術だけではありません。そこには必ず「家族を思うつくり手」と「食卓を囲む家族」が存在します。つくり手の原動力は家族への愛情。また、愛情を込めた手料理を食べる家族の笑顔を見たとき、そして「おいしかったよ」というひと言が返されたとき、つくり手はいっそう力を得ることでしょう。こうして通い合う温かな思いは、「おふくろの味の隠し味」といえます。
食生活は、時代と共に移り変わっていく部分もあるでしょう。しかし家庭の食卓を支える「心」は、確実に次代へと受け継いでいきたいものです。
『ニューモラル』466号,『366日』3月11日