皆さんの心に残る「おふくろの味」はなんでしょうか。――それは必ずしも「特別なごちそう」ではないかもしれません。家族を思って一日一日を丁寧に生きる親の後ろ姿そのものが、懐かしい食卓の思い出を形づくっているのではないでしょうか。
食卓で家族が共に過ごし、心を通わせ合う時間は貴重なものです。日常の一コマ、ほんの小さな出来事でも、子供たちが“家族が自分のことを思ってくれている”と実感できたなら、それは大切な思い出として心に残っていきます。また、子供のころに味わった喜びは、自分が大人になってから構える家庭でも、やはり“子供に味わわせたい”と思うものです。そうした思いの連鎖の中に、祖先以来の家庭の文化が息づいて、親から子へ、子から孫へへと受け継がれていくのでしょう。
家族がそろって食卓を囲む意味を、今、あらためて考えてみませんか。
『ニューモラル』466号,『366日』12月19日