幕末、福井藩主の側近として活躍した橋本左内(一八三四~一八五九)は、十五、六歳のころに著した『啓発録』の中で、立派な武士となっていくためには「稚心を去ること」が大切であると述べています。
――自分のことばかり考える「子供の心」を去り、他に喜びを与える心を持つことが、大人の世界への第一歩ではないでしょうか。
家庭や学校、職場の中で、周りの人に喜びを与えることは、私たちの心の持ち方次第で、いつでも、どこでも、誰にでもできます。幼い子であっても、感謝の言葉をかけること、お手伝いをすることなどで、他に喜びを与えることができるでしょう。
ほんの些細なことでも「自分に何かできることはないか」と考えて、心の眼を周囲に向けてみてはいかがでしょうか。
他に喜びを与える生き方は、きっと自分自身の人生を豊かにしてくれることでしょう。
『ニューモラル』475号,『366日』11月28日