社会の「無縁化」にまつわるニュースを耳にしたとき、私たちは何を思うでしょうか。――ただ眉をひそめたり、悲観したりするだけでは、何も変わらないでしょう。
Hさん夫妻は、手づくりのお弁当を地域のお年寄りに実費で配達するボランティアグループを主宰。年々利用者は増え、活動に共感して参画する仲間の輪も広がっています。
「一人、二人の生活では品数を多くつくれないし、出来合いのものを買うと味が濃くて……」という高齢者世帯が心待ちにする家庭の味。栄養のバランスのほか、盛り付けや季節感にも配慮します。
また、利用者にお弁当を手渡して様子を確かめるのも大切な役目です。訪問を重ねていくと、生活上の相談を受けることもあるそうです。
みずから進んで一歩を踏み出し、周囲の人々と心の絆を結んでいくことによって変わってくる「何か」もあるのではないでしょうか。
『ニューモラル』499号,『366日』3月27日