三重県の伊勢の神宮では20年に1度、社殿や神宝等のすべてをまったく同じ姿を保ってつくり改めるという「式年遷宮」が、約1300年前から続けられています。
エジプトのピラミッド、ギリシャのパルテノン神殿などの石造物は、それが壊れてしまえば建築技術を伝える術がありません。しかし神宮は20年ごとにみずみずしく蘇り、いつの時代にも生き生きと存在するのです。日本の国がいつまでも若々しく、永遠に発展していくようにとの願いを込めて、神のお住まいを20年ごとに建て替え、新しい息吹を吹き込んできた日本民族の知恵と精神のすばらしさがここにあります。
太古の日本人は、式年遷宮を通じて神様に若返っていただいて、よりすばらしい時代が迎えられるように祈ったのではないでしょうか。その祈りが1300年もの長きにわたる「心の連続性」をもって、今に伝えられているといえるでしょう。
『ニューモラル』444号,『366日』10月2日