分類:C6
亡き父が創業した会社を引き継いだAさんは、経営者としてさまざまな決断をしなければならない場面に立たされたとき、苦悩の中で、知らず知らずのうちに生前の父の姿を思い起こすようになりました。そして“こんなとき、父ならどう判断しただろうか”“こうしたら父は安心してくれるだろうか、それとも心配するだろうか”と考えてみると、不思議とよい考えが浮かんでくるのだと言います。
特に重要な決断をする際は、仏壇の前に長い時間座って「このようにしたいと思いますが、よろしいでしょうか」と語りかけます。返事は返ってこなくても、そうした時間を持つことで謙虚な気持ちになり、物事を冷静に判断できるのだそうです。
私たちは、すでに亡くなった親祖先とも心のつながりを保ち続けることができます。そして、そこから大きな力を得ることもあるのではないでしょうか。
『ニューモラル』506号,『366日』3月21日