分類:C6
古来、正月には「正月様」という年神(五穀を守る神)が来訪し、人々に年玉(年魂)を授けて生命力を新しくしてくれると考えられていました。そのことを褒め、喜び、祝い合うのが正月でした。
正月を「めでたい」と言うのは、正月様が家々を訪れて〝世の中が平安で、豊作であり、人々が健やかであるように〟と、祝福を授ける時季だからです。
この「めでたい」という言葉は、「愛ず・賞ず」という語から出た「めでたし」で、古くは「愛したい、褒めたい、祝うべきである」という意味を持っていました。
ですから、正月に「めでたい」と挨拶を交わすのは、人間同士がお互いに相手を褒めたり、祝ったりする意味ではなく、正月様の祝福に対する〝おめでたい日だ〟という気持ちを言い表したものなのです。
『ニューモラル』389号,『366日』1月2日