宗教学者である故岸本英夫氏は、みずからガンを患い生死のはざまをさまよった経験から、人間が死を前にして、安らかでいられる方法が二つあると述べています。
一つは、「生命あるものすべてに対してのいとしさが感じられるとき。名もわからないような草花、羽ばたきをしている小さな虫、木々のこずえのそよぎなど、命があるものに対して、いとしみや、共感が感じられるとき」、今一つは、「せいいっぱい自分の仕事をやり続けて、満足だと思えるような死を迎えるとき」だそうです。(『人生のフィナーレを考える』一番ヶ瀬康子/古林詩瑞香、岩波ブックレット)
いのちには貴い意味があるのです。
“いのちの感触”“いのちの貴さ”を感じるとき、はじめて私たちは一人ひとりが生かされていることに心から感謝することができるのかもすれません。