道徳の授業:生命の尊さ

分類:D1 A5 C1

「希望」がもたらす力

 第二次世界大戦中にナチスドイツに捕らえられて収容所に送られ、死の恐怖の中で九死に一生を得た精神科医フランクル(1905~1997)は、収容所という極限状態に置かれた人間の様子を書き記しました。そこで生き続けることができた人々は、決して体が頑強であったためではなく、“再び妻子に会う”“やりかけた仕事を完成させよう”といった「希望」を持ち続けたことが、大きな要因であったといいます。

 フランクルは「人間の自由とは、諸条件からの自由ではなくて、それら諸条件に対して自分のあり方を決める自由である」と述べ、これが他の動物とは異なる点であるといいます。人は、苦しみの中で相手にほほ笑む「自由」も、また、どれほど恵まれた条件の中でも人を恨み、不平や不満を叫ぶ「自由」も持っているのです。

 自分の置かれた状況をどう意味づけるかで、変わる何かがあるのです。


『ニューモラル』407号
『366日』8月6日

道徳の授業トップ

Top of the page