私たちは、衣食住をはじめ、身の回りの人々の働き、または文字や言葉や芸術などの文化的なもののおかげで日々生活しています。また、家庭や社会、国があって今の暮らしが成り立っているのであり、さらに、これらすべては自然のはたらきに包まれています。そもそも私たちのいのちは、数限りない祖先たちによって伝えられてきたものであり、その間に一度でも断絶していたら私たちは今、ここに存在しないのです。
このいのちは、子や孫へと次代に伝えられていきます。社会全体も地球そのものも、同じように次代へつないでいかなければならないものです。
そう考えると、私たちは「自分が恩を受けたと思わない」「昔のことなど知らない」などと言うことはできないでしょう。自分の生き方を考えるうえで、そうした多くの恩恵に支えられているという自覚を持つことが大切ではないでしょうか。
『ニューモラル』412号,『366日』11月3日