作家の吉川英治氏(1892~1962)は、次のように述べています。
「もう両親はおらぬが、私は両親に会おうと思えばいつでも会えるのです。それは私の脈をみるのです。私の体の中に、いつでも両親も祖先も生きていてくれるのですから、誰でも両親に会おうと思えば何時でも会えるのです――」
私たちの体の中には、両親も祖先も、脈々と生き続けています。そうした代々の数多くの人々が、次の世代であるわが子を慈愛の心で守り育ててきたからこそ、今こうして私たちはいのちをいただき、生きているのです。
その親や祖父母、祖先とのいのちのつながりを感じるとき、私たちは「自分一人の力で生きているのではなく、生かされているのだ」と感じ取ることができるのではないでしょうか。
『ニューモラル』419号,『366日』9月23日