幸田露伴(1867~1947)は『努力論』の中で、幸福になるために「惜福・分福・植福」という生き方を説きます。これを説明するのに、露伴は「福」をリンゴの木にたとえて、次のように述べています。
毎年立派な実をつけるリンゴの木を、大切に管理して長持ちさせるのが「惜福」です。また、実を身近な人に分け与えるのが「分福」です。そして「植福」とは、リンゴの種を蒔いて新しい木を育てることで、より多く人に実が行き渡るようにすること。つまり天地の生々化育の作用を助け、人畜の福利を増進することが「植福」です。
植福――それは自分の持つ力や知恵や経験を生かし、仕事や義務、役割をきちんと果たして、未来の人々の幸福に貢献することといえるでしょう。それが、現代の社会を築いてきた先人たちの恩恵に報いることにもつながるのです。
『ニューモラル』438号,『366日』5月31日