大木を倒すほどの強い風が吹いたときも、風の勢いに逆らわない草は、結果として折れることなく残るものです。
私たちの感情の対立にも、同じことがいえないでしょうか。人と人との関わりの中で、自分にとって不都合なことが起きた場合に、自分の感情を正面から相手にぶつけては、相手の抵抗も大きく、不和や争いの元になるでしょう。また、その感情を自分自身の心にぶつければ、ますます不満が膨らみ、苦しくなっていきます。
「理屈では分かっていても、感情が許さない」といったとき、まず自分自身の感情を収めることができれば、相手に対しても自分に対しても、その感情をぶつけずに済みます。かたくなになりがちな自分の心を、さらさらと風になびく草花のようにやわらかくして、何事も優しく穏やかに受けとめていきたいものです。
『ニューモラル』290号,『366日』5月9日