「初心を忘れるな」とよくいわれます。初心とは、志を立てるとき、初めて事に当たるときの純粋で真剣な気持ちのことです。能を大成した世阿弥(一三六三~一四四三?)の『花鏡』には、次のようにあります。
「是非初心を忘るべからず。時々の初心を忘るべからず。老後の初心を忘るべからず」
私たちは少年時代以降、自分自身の成長に応じてその都度大小の志を立て、「初心」を持ちます。「志ある者は事ついに成る」(『後漢書』)ともいうように、志がしっかりしていれば、どのようなことも最後には成し遂げることができるのです。
年の初めに当たり、新たに志を立て、「初心」を奮い起こし、目標に向かって努力をしていきたいものです。「千里の道も一歩から」といいます。しっかりとした指針を持って、一歩ずつ、着実に歩んでいきましょう。
『ニューモラル』233号,『366日』1月1日